陰からの建築/OTK6

陰からの建築

階調の細かい陰による奥行きの認識のブレ

Architecture from shade

Blurring of recognition of the depth by the fine shade of gray scale

1. 研究の背景と目的

1-1. 旧北村家住宅での体験

 日本民家園の旧北村家住宅で見られた階調の細かい陰により実際の距離とは異なる奥行きを感じ、奥行きの認識にブレを与えていることに興味をもった( 図1)

 

1-2. 階調の細かい陰

 内部へ入り込んだ拡散光により影が陰に重なったり、拡散光がまた反射し影や陰をつくり、凄く薄い陰から濃い陰まで細かく分かれた陰ができる( 図2)

 組積造の住宅であるヴィクトル・オルタのオルタ邸は開口から入り込んだ光が拡散せずに反射を繰り返すため、光を遮る面の裏にできる陰に光が重ならず、陰の濃さに変化がないので陰の階調は粗い分かれいる。それに対し、旧北村家住宅の拡散光によって陰に光や影が重なるため、陰は階調が細かい、小さな凹凸も表現でき、より立体的になり奥行きを感じる( 図3)

 

1-3. 目的_ 陰から考える建築

 本修士設計は階調の細かい陰がつくり出す奥行きに着目し、空間に振れ幅を持つ建築の提案を目的とする。

 

2. 分析_階調の細かい陰がつくる奥行きのメカニズム

2-1. 階調の細かい陰がつくる奥行きの空間認識

 竹内栖鳳の「宿鴨宿鴉」は左右の木々を墨の濃淡を使い距離感の違いを表し奥行きに幅を感じさせている。そのため木々の奥行きの感じ方にブレが生じ認識に多様さを持たせている( 図4)。階調の細かい陰により距離感の異なる奥行きが出来、認識に多様さがあると考えられる。

 

2-2. 異なる奥行きをつくる空間の構成

 西洋の組積造の建築は明るくするために開口で光を取り入れ、日本の柱梁の建築は屋根、床、建具で光を遮る面があり、その面で空間を閉じ部屋を作っている。完全に閉ざし闇を作っているのではなく、隙間を持ちながら閉じていることで陰の空間ができる( 図5)

また、庭で反射した光は屋根の勾配により同じように反射せず、反射する面によって光の軌跡が違うため、陰の階調のでき方に差異を持ち、異なる奥行きができる( 図6)

 

2-3. 既存建築における光と陰の関係

 階調をある陰を持つ既存建築を選定。既存建築は内部を明るくするため、光源である開口部の操作によって様々状態の光を取り入れ、階調のある陰をつくりだしている。分析により、「開口を閉じていく」「角度のある面」「光を遮る面」の3 つ挙げられる。この3つの要素は奥行きをつくる空間の仕組みに類似しているため、この要素を用いてモデルの作成を行う( 図7)

 

3. 陰コントロール方法のスタディー

 既存建築の分析から「開口を閉じていく」「光を遮る面」「角度のある面」の3 つの要素を用いる。閉じていくための基本部分モデルを作成し、隙間と角度を持たせながら閉じ、空間をつくり。陰をコントロールするモデルの作成をする(図8)。スタディーの方法として遮光にはアルミを用い、拡散にはスチレンペーパーを使用する。

 

4. 展望

 階調の細かい陰を持つ空間は、異なる奥行きを持ち空間の奥行きの認識に振れ幅を与え、人の捉え方によって空間の印象に多様さを持たせられるため、画一的な空間をもつプログラムなどを選定し設計へ応用させる。

 

→陰には奥行きがあるのか?「実際の奥行き」とは何で「空間認識」とは何の認識か?

陰には奥行きはありませんでした。陰ができる面に奥行きが出来ています。

「実際の奥行き」とは「実際の距離」のことです。「空間認識」とは奥行きの認識です。

→北村家でどんな陰をみつけたのか

階調の細かい陰です。

→それが生み出すどんな効果に興味を持ったのか?

実際の距離とは異なる奥行きによって、奥行きの認識にブレを与えていることに興味をもった

→空間の印象にどんな変化があるのか?

奥行きの認識にブレ与えていることで、空間の印象に多様さを持ち人によって異なる印象を与える

→細かな陰?陰に大きい、小さい、細かいがあるのか?微細と繊細はどう違うのか?

陰の階調が細かく、陰は細かくありませんでした。

→階調の細かい陰とは?陰に階調がある?

薄い陰から濃い陰が細かく分かれている状態の陰

→オルタ邸の陰の階調は粗く分かれている?なぜ階調は粗い(少ない)のか?

開口から入り込んだ光が拡散せずに反射を繰り返すため、光を遮った面の裏にできる陰に光が重ならず、陰の濃さに変化がないから階調が少ない。

→階調が細かい(多い)となぜ立体的か?

階調が多くても少なくても立体的に感じますが、階調が多いと小さな凹凸も表現でき、より立体的に感じる

→階調が多いとなぜ距離感の異なる奥行きが生まれるのか?

濃淡の階調の幅に種類が多く、遠くに感じるものから近くに感じる奥行きができるから。

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コメント: 2
  • #1

    admin (水曜日, 26 10月 2011 01:33)

    陰からの建築〜階調の細かい陰による奥行きの認識のブレ〜
    *細かい階調の陰?どんな奥行きの認識のブレか?実際よりどう違って感じるのか?
    *細かい階調の陰は、high gradational shadeか?
    *空間の奥行きの認識は、recognition of the spatial depthか?

    1-1. 旧北村家住宅での体験
    *実際とは異なるどんな奥行きを感じたのか?
    1-3. 目的_ 陰から考える建築
    *空間に振れ幅があるとはどういう意味か?
    2-1. 階調の細かい陰がつくる奥行きの空間認識
    *距離感の異なる奥行きとはどういう意味か?
    2-2. 異なる奥行きをつくる空間の構成
    *陰の階調のでき方に差異を持つと、なぜ異なる奥行きができるのか?
    2-3. 既存建築における光と陰の関係
    *ここがかなり弱く、分析になっていない。これらの建築は階調のある陰を持つが、その効果はどうなのか?実際とは異なる奥行きを作っているのか?それはなぜか?
    3以降は×。

    積墨法のように、複雑なグラデーションの陰を作り出すことが出来たとして、それはなぜ良いのか?空間の認識にズレがあるとなぜ良いのか?この修士設計はどんな役にたつのか?

  • #2

    admin (水曜日, 26 10月 2011 10:21)

    「微細な陰」を禁止したら、「階調の細かい陰」と「異なる奥行き」のオンパレード。
    同じ話を繰り返さずに、ひとつひとつ内容を確認する。

    階調が細かいだけでは提案にならない。
    現状では、「陰からの建築〜陰の重なりを用いた建築設計〜」ぐらいか・・?