停留所空間が生み出す人とまちのつながり/YMD2

神奈川、千葉のローカル線を見に行きました。

①流鉄流山線・・・千葉県松戸市の馬橋駅と、流山市の流山駅を結ぶ。6駅、2両編成、単線。

②京急大師線・・・神奈川県川崎市の京急川崎駅と、小島新田駅を結ぶ。7駅、4両編成、複線。

③南武支線・・・神奈川県川崎市の尻手駅と、浜川崎駅を結ぶ。4駅、2両編成、単線。

④JR鶴見線・・・神奈川県横浜市の鶴見駅と、川崎市の扇町駅を結ぶ(本線)。他2つの支線がある。13駅、3両編成、複線。

 

□問題意識

 駅は多くの人が集まる公共の場でありながら、ただ通過するだけになっているということに疑問を持った。都市部ではエキナカや駅ビルなどで目的地化しているが、郊外の駅は都市部への移動の通過点としての機能だけであるところが多い。

特に郊外の小さなローカル線では、その地元住民が主に利用し、自然に集まる公共空間であるため、まちづくりに欠かせない場となるのではないか?

 

●ローカル線の現状

ローカル線は、旅客・貨物が減少し、廃線となってしまう事例が近年増えている。

旅客・貨物の減少の要因としては、1960年代まではバスやトラックの発達が主要因であったが、それ以降は自家用車の普及(モータリゼーション)が主要因となっている。また沿線の人口減少が利用客減少を招く。少子高齢化により、周辺の団地に住む人が同時期に定年を迎えたり、高校生を中心とした通学利用が減ることにより、廃線につながることがある。そこで、ローカル線を廃止して、バスに転換するという事例もあるが、鉄道に比べて、値段が上がり、目的地までの所要時間も増え、道路状況により定時性も悪化するため、鉄道のメリットが失われてしまう。

●ローカル線再生事例

①いすみ鉄道

千葉県いすみ市と大多喜町を走る14駅、27kmのローカル線。存廃をかけて社長を公募し、観光鉄道として再建に成功した。

キャラクターグッズや、いすみ鉄道関連グッズや食品も開発して販売した。枕木オーナー制度も始まり、いすみ鉄道の存続は決定した。光客が増えた。沿線の住民や学校の生徒も熱心にイベントの手伝いや寄付をして、町中で食事や娯楽を提供している。

②和歌山電鉄

和歌山県和歌山市の和歌山駅から、紀の川市の貴志駅を走る14駅、14.3kmのローカル線。

産(和歌山電鉄や地元商工団体)、官(行政機関)、民(沿線住民)の一体活動が、鉄道の再生だけでなく、地域活性化にも繋がっている。ユニークな取り組み(地元特産品をデザインした「いちご電車」、駅長に三毛猫のたまを迎える、カラフルな車内にカプセルトレイを設置した「おもちゃ電車」など)と再建案の着実な実行(鉄道用地は和歌山県が全額補助、公有民営の仕組みを構築)、きめ細かい営業活動やイベント(運営委員会は地元商工団体、沿線学校の教員・保護者・生徒など存続運動に取り組んだメンバーで構成)により、190万人台まで減少していた年間利用者数は210万人を越えるまでに回復した。

③肥薩おれんじ鉄道

熊本県八代駅から、鹿児島県川内駅を走る116.9kmの第三セクター。

利用者を確保するために列車を観光化し、地域に利便性をもたらして、地域間交流と活性化を図った。事業としては、スタンプラリー、車内の美術館、沿線地域観光と連携企画イベント列車などがある。また、おれんじ食堂という観光列車があり、沿線の特産品を使って様々な連携先とコラボして生まれた料理を、列車内で食べられる。観光列車化することで、廃線を免れた。

いずれの事例も沿線住民のためだけではなく、観光列車とすることで、全国からの観光客に利用してもらい廃線を免れている。観光地化した結果、沿線住民の足も守られた状態である。

 

□敷地

千葉県流山市 流鉄流山線

千葉県松戸市の馬橋駅と、流山市の流山駅を結ぶローカル線。

路線距離は短い5.7kmで、6駅のみ。単線で、交換設備のある駅が一つ。終点まで11分。自動改札なはく、駅員が切符を回収する。ICカードは利用できない。電車の本数は。平日は一時間に4~5本とそこまで少なくない。

流山線は1916年に軽便鉄道(一般的な鉄道よりも規格が安く安価に建設された鉄道)として開業し、住民の要望で住民がお金を出し合って通した。社員も住民が多く、「町民鉄道」と呼ばれていた。

・馬橋駅:JR常磐線の乗換駅。島式ホームで、屋根は木造。

・幸谷駅:マンションの一階部分が駅になっている。武蔵野線新松戸駅の乗換駅。

・小金城趾駅:唯一の交換駅で島式ホーム。橋上駅舎で、北側の出入り口は古いマンションの二階。マンションは廃墟のよう。

・鰭ケ崎駅:周辺は住宅地やマンション。武蔵野線、つくばエクスプレスが近い。

・平和台駅:近くには大型量販店やホームセンターがあり、流山の商業圏の中心。

・流山駅:終点は島式ホーム。検車区がある。出入り口は旧市街側で、反対の丘陵側には出入り口がなく、歩道橋を渡る。

 

●千葉県流山市

流山市の中には流鉄流山線の他に、つくばエクスプレス、東武野田線、JR武蔵野線、JR常磐線の全部で5つの路線が走っている。つくばエクスプレスが開通したことで、都心からの所要時間が20~25分に短縮された。流山市の人口は、つくばエクスプレス開業の2005年の約15万人から、2013年には約17万人へと増大。10歳未満の子供と30代~40代の子育て世代が大幅に増加している。

●廃線の危機の流山線

<問題意識>

流鉄流山駅周辺の旧市街地は江戸時代から流山の市街地として発展してきた。流山市の中心駅は流鉄の流山駅であるが、JR武蔵野線開業で中心駅機能は南流山駅に移り、つくばエクスプレス開業で現在、中心駅機能は流山おおたかの森に移りつつある。中心のないまちと言われて来た流山市は、流山おおたかの森駅周辺が中心核となりつつある。現在、流山市役所は流鉄流山駅が最寄り駅であり、図書館も近くにあるが、この先、流山おおたかの森駅周辺に移設することになるかもしれない。

流鉄沿線の人口減少は全国のローカル線の問題同様に、自家用車の普及・少子高齢化・高校の統廃合が原因であり、それに加えて街の拠点が移って来ていることで、さらに利用者が減っている。旧市街は廃れ、空き家も増加していくだろう。ローカル線は、もう住民の足としてだけで存続するのは難しい。

 

□プログラム

保育施設、公園、カフェ、街中のリビングのような空間

●「路線全体が一つのような施設」事例

・中央ラインモールプロジェクト

沿線価値を総合的に向上させ、「中央線沿線に住みたい」と思ってもらえるブランドにする構想。線路があることで南北に分断されていた街が中央線の高架化によってつながる。駅と駅間の高架化を統一したコンセプトで一体的に開発し、駅と街をつなげ、地域の顔としての駅の魅力を上げる。また、「ののわ」プロジェクトは、「緑×人×街 つながる」をキーワードに、JR中央ラインモールが地域の人と一緒に取り組むもので、三鷹駅から立川駅をエリアとし、これからのライフスタイルを考え、実践するきっかけを、エリアマガジンやイベントを通じて提供している。

 

□最終イメージ

●システム

提案1:流鉄をLRTにして、既存の駅は改札をなくして町に溶け込んだデザインにする。既存の駅の間に駅(停留所)を増やし、沿線住民の利用を増やす。車内改札なので、駅と街の境界がなくなる。

提案2:流鉄のまま存続させ、先払いのバスのようなシステムにする。料金を均一制にすることで、どこでも途中で降りやすい。駅員の負担も軽くなる。

 

エキナカではなく、駅が街に広がって行くような提案。鉄道駅を中心に旧市街を再生。

定年を迎えた高齢者と、子供・子育て世代の共働き夫婦のための提案をする。利便性の高い、つくばエクスプレス沿線でなくても住みたい魅力をつくる。

TXとの乗換駅は設置されていないが、鰭ヶ崎駅と南流山駅の間の道程は約0.9km、流山駅と流山セントラルパーク駅の間は約1.3kmと近接しており、TXの駅にも近い所に住む通勤者の多くが通勤経路をTXへ変更したと見られている。通勤ではない利用の仕方のできる路線にする。

 

川西康之先生にお話を伺いに行きました。9月3日は土佐くろしお鉄道、中村駅に行き、駅の職員や売店の方にお話を聞きに行きます。今後は流鉄周辺の歴史、土地利用、旧市街の現状など詳しく調べていきます。流鉄の利用状況を知るため、一日サーベイを行います。

 

 

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コメント: 1
  • #1

    Admin (火曜日, 02 9月 2014)

    これもだめ。全て書き直し。

    文章をいくら書いても前に進まない。
    分析図やダイアグラムを描く。

    川西さんところ行ったんだね。四国も行くのか。それはよい。しっかり資料をまとめて、やり残されたことを考える。