1.写真とは異なる空間体験
図面や写真で事前に建築を調べてどのようなものかは理解していたはずだが、実際に建物を見に行くと理解していたものを遥かに超える豊かな体験をした。この体験をつくり出すメカニズムに興味をもった。
2.飾りとなった石や、どこにでもあるコンクリート打ち放し
外観から見たら組積造に見えるものは、鉄筋コンクリートなどで躯体をつくり、内外装に石材を張り付ける方法が多くなっている。フランク・ロイド・ライトの設計で有名な帝国ホテルもレンガ型枠鉄筋コンクリート造となっており、大谷石を表面に貼り付けただけの外装材となっている。
また、現在は多く見かけるコンクリートの打ち放しはオーギュスト・ペレ「フランクリン街のアパート」などで使われ始めてから、百数十年が経っており、その後コルビュジェが打ち放しコンクリートの典型をつくり、安藤忠雄がそれを洗練した。現在は、珍しくなく住宅や公共建築まで幅広く使われているが、用途は異なるが、どれも同じ空間のものが立ち並んでいるように感じる。
建材として用いれるものを、飾りとして用いたり、同じ素材を同じ加工ばかりで立ち並ぶ建築に疑問を感じた。
3.建築と空間のマチエール
「現実の建築」のもつ、テキストや図面で「表現された建築」では得られないような空間を「建築のマチエール」と定義する。
その空間は不可視で触知できるものではない。しかし、そこには種々の力の発動が内在している。人間の知覚、光、影、気流、匂、そして音などが、それぞれに感応のシルエットを重層させる。空間は感応のシルエットを重層させる感性的形成体であり、その要素を「空間のマチエール」と呼ぶ。
この建築と空間のマチエールを持つ建築を提案することで、本来の素材の美しさを知ってもらいたい。
4.プログラム
多くの年代の人々が混在し、滞在する場所
美術館、商業施設
5.最終イメージ
・建物全体が統一され一つの施設に見えるが、それぞれの空間の素材、加工が異なり使う人々も多様になるような提案
・建築に触れてもらえるような提案
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