素材加工によるマチエールを用いた設計手法 / SRI4

組積造は現在ではその材料が石のみではなく、コンクリート、木、煉瓦といったような数種類あるので組石と書かずに石を積に変えて用いられている。組積造は部材の断面が大きいほど安定感、量感を与え、可能な開口部がドアおよび小さい窓程度であることから開放感のない閉鎖的なイメージを作り出してしまっている。


木を素材とした組積造は「校倉造り」または「ログハウス」に代表される。

校倉造


唐招提寺宝蔵


断面が三角形をしており、頂点を外に向けるように積み上げてある。建物の外側にシャープな角を向け,内側は平面の壁を構成するので,ものを納めるのに都合良くできている。

ログハウス

 

あぜくら山荘

 

部材は、円い断面、原木そのままの断面で使われる場合が多いのですが、日本では部材を加工している。

ログハウスは隙間ができないようカットされて接合されているが、隙間に苔をはやし隙間をうめたり、漆喰、モルタル、板で隙間をうめるログハウスもあり、それぞれ印象の異なるログハウスとなっている。


現在の組積木造建築


隈研吾

カフェ・クレオン

 

角材に特殊な加工はせず、10.5cmの細い木材をすこしずつずらしながら、井桁に組んでいる。積み上げられた角材は30mmφのスチールロッドが角材を縦に貫通することで固定されていて、屋根は折板をのせている。 

レンガ建築物

東京駅

鉄骨煉瓦造


構造用煉瓦はイギリス積み、化粧煉瓦は小口積みで積まれている。

15mm(五分)45mm(一寸五分)の 種類の厚さのものがあり、表面の「下駄歯積み」の構造レンガに対応して一段毎に交互に積まれ剥離防止を図っている

富岡製糸場


木の骨組みに、壁に煉瓦を積み入れて造る 「木骨煉瓦造」。煉瓦の目地には、セメントの代用として漆喰が使われている。また、煉瓦は、フランス積みで積まれているが、これはフランス人が関係していたことを示すとともに建物に 流麗さをもたらした。


Gramazio Kohler建築事務所

 

ロボットアームの手を借りてレンガを積み上げられている。

飛行機をなるべく軽くするためにかさばる素材を軽量化するデザインの応用を用いて、レンガの内部にはハニカム状の空洞が開けられていて、素材を軽量化している。このレンガに接着剤のついたジョイントで接合すれば高く積み上げることが可能になっている。

材料がレンガの組積造は一つ一つのレンガの積み重ね方を重視して考えられていたが、化粧材として使われることが多くなっている。

木の組積造は材料の表面加工やつなぎ目を重視して考えられていたが、現在はズラしながら積み重ね、閉鎖的な空間から開放的な空間になっている。


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コメント: 2
  • #1

    admin (月曜日, 14 9月 2015 23:15)

    構法を勉強するのではなくて、ものを積み上げていくことで出来る魅力(マチエール)を考えることが目的であるはず。
    例えば、同じような構法でも、各々の部材寸法や組み合わせ方、目地の大きさや凹凸などで、様々表情を生み出すことが出来る。なぜ組積造に惹かれるのかを理解しようとしないなら、このテーマは修士設計にはならない。

    ズントーやワンシュー(王樹)の建築に、みんなが惹かれるのはなぜか?
    石の仕上げ方法が本当にたくさんの種類があり、それらをどう組み合わせるのか?どういう目地にするのか?どういうコーナーにするのか?など、古くから建築家たちがディテールにこだわってきたのはなぜか?

    そういう設計者の目線でものごとを考え、教科書に書かれていることの先を読み、その先(誰も考えていないこと)を探る。そこまでいって、始めて修士レベル。

  • #2

    admin (月曜日, 14 9月 2015 23:38)

    何をやっていいか分からないから、ひたすら勉強する。
    現代の設計者達が何を考え、何に苦労しているのかを知る。

    中間までに、様々なマチエールの作りかたを研究し、分類・分析をして、その先をどのように考えていくか仮説をたてる。その上で、それらを用いて、新しい建築表現のあり方を考え、建築を設計する。