重厚感のある建築/SRI8

重厚感とは、壁や天井、柱の厚さ、空間の厚さ、重さのことをいう。空間の重さは影の量によりつくられ、空間の厚さは暗い場所の長さによりつくられる。

ズントーが入口を小さくする理由


一般的に建物に向かうときエントランスは最初の目的で、強い視覚対象となり他の部分は背景となる。そこで、エントランスを隠すことで目的先が分からず、視覚対象は全体となる。エントランスを隠すと、視線が固定されず建物全体を動き回ることをさせることができるからです。

ルイス・カーンの平面分析を行いました。重く感じた6作品を選び、明るい空間は赤、暗い空間は青に色分けしました。

左上から、

1.フィリップ・エクセター・アカデミー図書館

2.神学大学院連合共通図書館

3.プリンモア大学エルドマン・ホール

4.ファースト・ユニタリアン教会

5.シェル・エ・バングラ・ナガー バングラディシュ首都計画 国会議事堂

6.イェール大学英国美術研究センター


上記の1957年以降のルイス・カーンの作品を参考に、平面構成は3種類に分けることができることが分かりました。

上記のルイス・カーンの平面構成と、暗さをつくる手法4つを用いて、設計を行いました。

建築面積:約2500㎡くらいを考えています。(70m×35m)

プログラム:美術館、図書館、商業施設、銭湯、教会を考えています。


暗さをつくる手法

1 余白(外部)を挿入する
2 非均質な空間を作り、光と影を混在させる
3 明暗の空間を対比させることで強調する
4 明暗の境界を曖昧にする

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コメント: 1
  • #1

    admin (日曜日, 13 12月 2015 01:34)

    *思考がシンプルなのは良いが、その精度をあげる作業をした上で、積み上げていかなくてはならない。

    *エントランスを小さく抑える理由:
    エントランスを小さく、高さを抑える手法はズントーに限らず、谷口さんや内藤さんも多用している。
    内部空間の大きさとの対比をより強調する為でもあるし、入口を暗く低く抑えることで明暗を作り出しているともいえるだろう。
    「重厚さ」に着目すると、「壁」によって囲われた空間を作り出したいとする意志だと考えられる。
    「入口」や「窓」は空間にとって異物であり、壁によって囲われた純粋な空間を目指している。
    ズントーは壁で囲われた空間を作り、窓を小さくしたり、目に触れない高さに持っていく。
    カーンは壁のようなものを空間で作りだし、窓ではなく開口を強調している。

    *空間の重さは影の量によりつくられ、空間の厚さは暗い場所の長さによりつくられる。
    「空間の重さ=壁の量」は正しいのではないか。通常、外壁の量=影の量である。
    影が多い空間は重く感じる。
    では「空間の厚さ」とは何か?「暗い場所の長さ」とは何か?

    *暗さをつくる手法4つを用いて、設計・・・
    まず、シンプルに影の多い建築を作る方法をいくつか考える。
    ズントーやカーンをベースにそれらが何種類か作れたら、その先を考える。
    それが「非均質な空間を作り、光と影を混在させ、明暗の空間を対比させて強調する」建築となるはず。
    つまり、これがゴール。石窟寺院のような開放的で重厚な建築。